STORY 1 天空のプロポーズ(S.Mさん)

STORY 1

天空のプロポーズ(S.Mさん)

2012年12月17日。彼女の誕生日の翌日。それは僕にとって忘れられない日となるはず。
その日が彼女にとっても、忘れられない日になることを願って。
プロポーズの日。二人にとって、一生にただ一度の特別な日。

2012年12月17日、既に日も落ちた午後5時半。僕たちは日比谷線築地駅に降り立った。

彼女には、誕生日にディナーをごちそうするから、とだけしか言っていない。僕たち二人は、誕生日などの記念日には外で食事をする習慣があり、今回も恒例の食事だと彼女は思っている。どこに連れて行くかは当日のお楽しみということで、いつも明かさずにお互いが相手のためにコーディネートをする。

高層ビルの47階、夜景がきれいだと評判のとあるレストラン。案内された席は片側が全面窓となっている。東京の夜景を一望できる個室だった。真冬の澄んだ空気の中、少し遠くに東京タワーがまるで大きなキャンドルのように輝いている。その夜景は運ばれてくる料理に彩りを添え、外の寒さとは違い落ち着いた温かい時間が流れていく。

食事もほぼ終わり、ろうそくが数本立てられたケーキが運ばれてくる。そして、昼間、二人で買いに行った誕生日プレゼントをあらためて渡す。

 僕:「誕生日おめでとう♪」
彼女:「ありがとう!」
 僕:(さて・・・。いよいよ本番)
 僕:「ちょっとトイレに行ってくるね」
彼女:「うん」

 

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実はこのレストランには、結婚式用のチャペルが併設されており、結婚式を挙げることもできるようになっている。そのチャペルは全面ガラス張りの大きな窓に囲まれた、東京の夜景を一望できる作りになっている。事前に貸切りで予約をしており、そこで東京の夜景に囲まれてプロポーズをする計画だ。

係の方に案内され、一足先にチャペルに入る。数日前、昼間に下見に来たときの景色とは違い、まるで夜空に浮かぶ箱舟から地上を眺めるような不思議な空間だった。

入口の大きな扉からまっすぐ歩いた先には、夜景に浮かび上がるように大きなクロスが飾られている。僕はその前に立ち、今入ってきた扉の方を向き、案内されてくるであろう彼女を待つ。緊張の一瞬・・・・。

扉がゆっくりと開き、案内された彼女が扉を開け、姿を現す。

彼女:「わぁ!きれい!!」
 僕:「うん♪もっとこっちにきてごらん♪」

歩み寄る彼女に僕の方からも近づき、そっと手を引く。

 僕:「ほら、道を行く車の流れがまるで星でできた道みたいだよね」
彼女:「なにくさいこと言ってんのよ(笑)」
 僕:「はは。でもすごくきれいだよね!」
彼女:「うん♪」
 僕:「もうすぐ付き合って丸5年。思い返せば色々なところに行って

色々なものを見て、色々な道を歩いてきたよね。」

彼女:「そうだねぇ♪」
 僕:「これからもずっと、『一生』、同じ道を歩いて、同じものを見て、同じものに感動したい。」

少し不思議そうな表情を浮かべる彼女。
そして、事前に祭壇の裏に隠しておいた、大きなガラスケースに入った、メッセージ入りのプリザーブドフラワーを渡す。

彼女:「え?なに?」

そのガラスケースの表面には・・・・。

「Will you marry me?」
「To Hiroko」
「From Susumu」
「Dec. 17. 2012」

僕:「結婚してください♪」

彼女の表情は、驚きから理解、そして笑顔へと変わり・・・。

彼女:「・・・・はい」

そして、バックに流れていた静かな音楽が、祝福の音楽へと変わり、プリザーブドフラワーのガラスケースには、ライトに照らされたクロスが暖かく輝いていた。

天空のプロポーズ
Shota Fujii